最後の夜。
今日で、1年間住んだコンドミニアムを出た。
部屋が空っぽ。
鍵もテーブルの上に置いたから、もう帰って来られない。
同居人に見送られてゲートを出た。
同居人が「さみしい」と泣いてくれて、ああ良い1年間だったなあと改めて実感した。
同居人には、本当に恵まれてた。
こんないいメンバーで暮らせることはない。
毎朝のいってきます、いってらっしゃいも、当たり前になってたけどかけがえなかったなあ。
そうやって言葉を交わせる人がいるってのは素敵だなあ。
時には疲れて喋りたくなくて、同居人はそんな時放っておいてくれて。
そんな距離感と、全て伝わってる感じが心地良かった。
喧嘩はしなかった。
洗濯機とかキッチンとか、独り占めできなくてちょっとイラッとすることがあったけど、同居人のせいじゃないのはわかってたしお互い譲り合って使えていた。
文句ない家族だった。
朝は私が一番早くて、その次が長女で、末っ子は遅くまで寝ていて...
そんなルーティーンも無くなるんだ。
ほんとにほんとに変な感じ。
信じられない。
お婆ちゃんになっても、きっとこの共同生活を思い出すと思う。
素敵な思い出しか残らない。
ここへ来た当初はあんなに不安だったのに。
トラブルがないわけがない、って思ってたのに。
運が良かったなあ。
ここシンガポールを出る時も、きっとあんな風に実感がわかずに出て行くことになるんだと思う。
変だなあ。
当たり前じゃないってこと、ちゃんと自分に言い聞かせよう。